• うみ。

    [11.02.01] うみ。


    今度は一月にきまーす。といって十二月の寒空の中、男は去って行った。そして本当に彼はかわいい友達を連れてやってきた。彼は神奈川在住のいきのいい男だ。背が高くすっと伸びたよく手入れされた長い髪と硬くひきしまった色黒の肌。いつも海の香りがする。山にこもってると、無性に海に行きたくなる。夏の海も好きだが、荒れた冬の海も大好きだ。ウエットスーツ姿のサーファーたちがまるで海の生き物のようにいきいきと波をとらえてる。潮の香りとまばゆいまでの海面に反射した太陽の光。今までたどってきた自分の旧跡をアルバムを一枚一枚めくるようにゆっくりと思い出す。がんばってやってきたつもりだったが、この海の前ではつまらないことに思える。目先のことばかり熱くなってたが、もっともっと、遠くが見えてくる。人は生まれてきてやがて自然に還ってゆく。すべての生物に与えられた時間なのだ。もう薄暗くなってきたのにまだサーファーたちは海から上がろうとしない。どうやらオフショアーの風はサーファーたちの大好物らしい。